目指したのは、焼酎としてのフラッグシップ -『煌星』ご紹介-

2021年11月のブランドリニューアルと共に発売を発表した第2弾商品の『煌星』。

美しく輝くビジュアル。完成に1年ほどかかったこの『煌星』にはビジュアルと同じくらい、この1本を通して皆様に伝えたい熱いメッセージがあります。

『煌星』の樽熟成について

『煌星』はウイスキーやブランデーのような琥珀色をしていますが、この色味は樽熟成によってもたらされているものです。『煌星』はシェリー樽で15年、17年、19年熟成した3つの原酒を使用しております。

ウイスキー/ブランデーや焼酎はどちらも蒸留酒であり、実は出来立て(蒸留仕立て)の頃は無色透明な液体です。ではウイスキーやブランデーがなぜこのような琥珀色になるのかというと、樽熟成を行った際に、樽材の成分や樽を焦がす際に変化した成分が溶け出し、ウイスキーやブランデーの成分と反応するからです。

一方で、大体の焼酎が無色透明なのは、タンクや甕で貯蔵されており、それでは着色しないから。蒸留酒は熟成方法などの外的要因で影響を受けない限り基本的には無色透明であります。

ただ最近は、ウイスキーが世界的に需要が高まっているというのもあり樽熟成を行う焼酎メーカーも増えてきました。

本格焼酎の色規制

しかし「焼酎」にはウイスキーやブランデーほどの濃い琥珀色の商品が存在しないのです。全て薄くて淡い色の商品しかありません。

「製法上の問題で、焼酎は濃い色にならないのですか?」とよく聞かれることがあります。その答えはノーです。焼酎もウイスキーやブランデーのように、しっかりと樽色は着くのです。

それではなぜ存在しないのかというと、そこには焼酎を取り巻く日本の酒税法で、濃い色では商品化できない「色規制」というのがあるからです。

今から遡ること約60年前、当時焼酎と比べて格段と高級酒として扱われていたウイスキーと判別するために、この色規制が定められました。それによって焼酎はウイスキーの約10分の1程度の色の濃さでしか商品化できないのです。

海外で伸び悩む焼酎、原因は60年前からの“色規制”? 国税庁「岩盤規制ではない」が蔵元の中でも様々な意見 https://news.yahoo.co.jp/articles/99cd77dbd1a7bdd43ac45a8cc586378e48da3cb7?page=1


今から60年前というのは、まだ南九州の地酒にしか過ぎなかった焼酎ですが、焼酎ブームを経て全国に広がり、現代では多様性溢れる消費者の趣味嗜好に合わせ、様々な製法で焼酎が造られています。にもかかわらずこの「色規制」が存在しており、時代錯誤と言われても仕方がないような規制なのです。

ただもちろんここ最近では業界から多数の声が上がっており、規制緩和に向かっているのは事実です。

それではそこから各メーカーはどうやっての10分の1の色まで落としているのかというと、前述した通り、焼酎を樽熟成すると、ウイスキーやブランデーのような濃い琥珀色になります。そこに無色透明な焼酎とブレンドしたり、濾過器で色を落としたりしています。

偶然にもこの制限こそが、ブレンドにとっての絶妙な調和点

この『煌星』は3つの樽熟成原酒と、透明な10年常圧タンク熟成と7年減圧タンク熟成の5つをブレンドしています。

ただ代表の橋本から言わせてみると、これは色規制の為に「色を落としている」というようなネガティブな意味でブレンドしている訳ではありません。樽熟成由来であるまろやかさ、バニラやドライフルーツのような風味を、タンク熟成をブレンドすることによってそれが車輪のような役割をもたらします。

ブレンド作業は無限の組み合わせがあり、昨年(2020年)から何百という組み合わせで試行錯誤してきました。そしてこの『煌星』のポテンシャルを最大限引き出そうとした結果、この色規制ギリギリが最も良い調和点だということに気付きました。

香りはバニラ、ブロンドチョコレート、微かにシナモン。芳醇なウッディさもありながら、口当たりはやわらかく舌全体に広がり、レーズンやドライフルーツの味わいも感じられます。

まずはストレートやロックで煌星の魅力を感じていただきたいです。

フラッグシップと表現した意味

ブレンドをし、規制範囲内の色で商品化する為には、樽熟成原酒の割合をおおよそ30〜40%に抑える必要があります。(もちろん種類によって変動いたします)ブレンドをし、規制範囲内の色で商品化する為には、樽熟成原酒の割合をおおよそ30~40%に抑える必要があります。(もちろん種類によって変動いたします)これはブレンデッドウイスキーのモルトとグレーンの比率とほとんど同じであり、大変飲みやすかったから、ブレンデッドウイスキーが世界で広まったと考えると、この比率には大変意味があると考えています。

これはブレンデッドウイスキーのモルトとグレーンの比率とほとんど同じであり、この比率には大変意味があると考えています。


そして昨今のウイスキー人気の中、焼酎の色規制範囲で商品化しているウイスキーもあり、大変支持を得ています。色が濃ければ良い、という訳ではないのです。

まさに世界で一般的な樽熟成と、日本の焼酎が、この上ない点で調和したそんな1本であります。

仕方なく透明な焼酎をブレンドしている訳ではなく、焼酎としてのベストを表現する為に、私たちはブレンドに命をかけました。この色と5種類のブレンドが織りなす味わいが、まるで煌く幾多の星が共に奏でているようだと思い「煌星」と名付けました。


麹の蒸留酒が奏でる世界をぜひ『煌星』で体験してみてください。