J.CAVIAR × SHOCHU X 熟成を極めたコラボレーション

2022年5月26日、日本の伝統を継承しながら世界に挑戦する国内発のクラフトキャビアブランド「J.CAVIAR(ジェイキャビア)」と、独創的なコンセプトの焼酎とその先の新たな焼酎エクスペリエンスの創造を目指すブランド「SHOCHU X(ショウチュウエックス)」のコラボ商品が発売されます。


今回はJ.CAVIARを製造・販売しているジャパンキャビア株式会社の坂元社長に、弊社SHOCHU X代表の橋本とともに、コラボレーションの背景や意図、愉しみ方の他、両社が目指す未来についても伺います。


[コラボ商品]

オシェトラロイヤル × 煌星 

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うまみと熟成を極めたクラフトキャビアブランド「J.CAVIAR」


─はじめに、それぞれのブランドのご紹介をお願いします。まずは坂元社長からお願いいたします。



坂元(J.CAVIAR):私たちは、「日本のキャビアを世界へ」というコンセプトで、J.CAVIARというクラフトキャビアを作っている会社です。


キャビアというとロシアやヨーロッパが本場かと思うのですが、魚卵の文化として見ると、私は日本が世界で最高の文化を持ち合わせていると思っています。日本にはからすみやイクラ、数の子といったたくさんの魚卵があるので、美味しい魚卵を扱わせたら日本人が一番だと思っているんです。


世界三大珍味と言われるキャビアですが、素晴らしい魚卵文化を持つ日本人の手で、日本人が本当に美味しいと思えるキャビアを作ることができれば、本当に美味しいキャビアになるんじゃないかという想いでキャビアの開発をスタートしました。

そして現在では、独自の熟成技術を極めることによって、日本ならではのジャパニーズキャビアを生み出し、国内はもちろんのこと、世界に向けて販売をすることができています。


当初は「宮崎キャビア1983」という商品名、ブランドでやっていたのですが、世界に向けて発信していくにあたり、日本のキャビアということをアピールしたいという想いを込めて、今では「ジャパンキャビア」という会社名にし、同時にブランディングも行い「宮崎キャビア1983」から「J.CAVIAR(ジェイキャビア)」という新しいブランドを作りました。



─なぜ日本人は魚卵をうまく扱うことができるのでしょうか。


坂元:キャビアは、チョウザメの魚卵に岩塩を加えて熟成させることによって仕上げていくのですが、非常にシンプルだからこそ、その工程が難しいという特徴があります。


日本には「うまみ」という言葉がありますが、もともと世界にはその言葉はなかったんですよね。今でこそ「うまみ」という言葉はそのまま世界標準語になっていて、「うまみ」の文化として、日本は世界で一番だと私は思っています。


キャビアは塩味だけじゃなくて、「うまみ」が加わって初めて美味しいキャビアになるので、その「うまみ」を極めた日本人が作るキャビアは、やはり世界でもトップクラスのキャビアになると思っています。


海外の方の中には白身魚はどれも同じ味に感じてしまうという方が多いそうなのですが、日本人は白身魚の「うまみ」を味わうことができます。

子どもの頃から「うまみ」を感じ取ることができる繊細な舌に鍛えられている日本人が美味しいと思えるキャビアというコンセプトは、非常に面白いのではないでしょうか。



─「うまみ」を極めた日本人だからこそ作れるキャビア。とてもユニークで期待が膨らみます…! 橋本さんから見た、J.CAVIARさんの印象はいかがですか。


橋本:J.CAVIARさんのことはもともと知っていまして、今回コラボレーションさせていただく商品でもある「オシェトラロイヤル」を初めて食べさせていただいた時は感銘を受けました。

「美味しい」という言葉が凄くチープに感じるくらい、「美味しい」を超越した感覚を得まして。


僕は焼酎に限らず蒸留酒がとても好きで、結構バーでも飲んだりするんです。

その時、一杯5000円以上するようなものもたまに飲んだりするのですが、その時に感じるような、美味しさを超越した嗜好性を感じる感覚に似ています。言葉で表現すると安っぽくなってしまって、もったいないというような感覚です。それを「オシェトラロイヤル」から感じました。


別の商品で、キャビアのために作られたウォッカも頂いたのですが、こちらも美味しくて、何よりデザインがとてもカッコイイ。


これだけの高価格帯でブランドが成立しているのは、まさにJ.CAVIARさんのブランド力だと思うので、大変勉強になっています。

商品だけじゃなくて、全体のストーリーを価値として提供していて、だからこそ一流のシェフやホテルにも認められて卸されているのも本当にすごいなと思います。

一流の人たちに認めてもらうっていうのは本当に難しい作業なので。



ユニークな焼酎と新たな焼酎体験を届ける「SHOCHU X」


─ 続いて橋本さん、ブランドのご紹介をお願いします。


橋本(SHOCHU X):僕たちは「TRANSFORM SHOCHU」というテーマを掲げて、焼酎のブランドをやっています。


もともと自分は九州出身でもないし、酒蔵の息子でも無いし、焼酎に全く縁もなかったのですが、学生時代に焼酎がめちゃくちゃ好きになって。

ある時、日本酒のベンチャー企業がたくさん出始めていたり海外でも伸びていることを知って、ふとなぜ僕が好きな焼酎ではそういうことが起きていないんだろう?と疑問に思ったんです。


そこから、焼酎に関わる仕事がしたいと思うようになって、色々な酒蔵さんだったり、焼酎業界の方にアポ取って話しに行ったりするうちに、ご縁があって焼酎の仕事をするようになったんですね。

その会社で実際に海外に行ったり、世界中のバイヤーが集まるイベントで海外の方に焼酎を売るということをしてきたのですが、日本人以上に焼酎の味に感動する人が結構いらっしゃって。

その方々の反応を見た時に、「焼酎に賭けよう」という想いが僕の中に芽生えました。


一方で、実際に焼酎を販売するなかで、課題もいくつか見つかりました。


一つはアルコール度数の低さです。

焼酎の度数は20~25度が一般のラインで売っているのですが、その度数帯は世界でも焼酎くらいなんです。

かたや世界ではウイスキーやブランデー、ウォッカ、ジン、テキーラは全て40度以上で、食後酒を前提としてカクテルやストレート、ロック等で飲まれています。なので、度数が低い焼酎はそもそも海外では受け入れられにくいということを強く実感しました。


もう一つはデザインやブランディングです。「洋酒のようにデザインに力を入れたほうがよい」「焼酎は安すぎる」という声は、何度も耳にしました。


そういった課題を乗り越えるために、僕はこのブランドを立ち上げて、焼酎の価値を高めたいと思っています。

アルコール度数も全て40度以上で、バーにも置けるデザインで、食後酒としてストレートやカクテルで飲めるような焼酎の提供を行っています。


─ 確かに、焼酎を飲むシーンと洋酒を飲むシーンは異なる気がします。


橋本:そうですね。例えば皆さん、ハレの日にシャンパンを当たり前のように開けると思うのですが、その特別なお祝いの時に焼酎が選ばれてるかと言ったら、今はほとんど無いんじゃないかと思っています。


日常の中でのちょっと特別な時に、選ばれるような価値のある焼酎を出していくことで、焼酎の新しい愉しみ方が広まることを目指しています。



─ ありがとうございます。坂元社長から見た、SHOCHU Xはどんな印象でしょうか。


坂元:SHOCHU Xさんに対しては、最初にお会いした時にお話しをお伺いしたりホームページ等色々見せていただいて、同じ方向を向いている、と親和性を感じました。


今まさに仰っていた「ハレの日に焼酎は飲まないだろう」というところに敢えてチャレンジしていく焼酎なのかな、と思っています。従来の焼酎文化を継承する側面もありながら、これまでの焼酎を捨てるような、一見すると二律背反を超えていかないといけない難しいチャレンジを背負っていると思うんですよ。


キャビアはもともと世界中でハレの日に食べるものというイメージを持たれていますが、焼酎はどうしても、日本人の労働者のおっちゃんが仕事終わって一杯やるぜみたいなイメージを多くの方が持っているので…国内ほど難しいのかもしれないですね。


なので、そこをうまくブランディングしていこうとされていて、これは非常に面白い焼酎になるんじゃないかと思っています。




今回のコラボレーションの経緯



─ なぜ今回、コラボレーションすることになったのでしょうか。



橋本:きっかけは、SHOCHU Xのブランディングにお力を貸してくださっているSAGA INC.の寒河江さん(寒河江さんとの対談記事はこちら)がJ.CAVIARさんでもお仕事をされていて、両社に重なる部分があるからと、お繋ぎしてくださったことがきっかけです。


寒河江さんが仰っていたのですが、J,CAVIARもSHOCHU Xも、洗練されたラグジュアリーなブランディングの中で、現代の食のシーンにフィットするものを提供していきたいという想いに、共通項を感じてくださって。


確かに、ハレの日の体験という部分でも、Jキャビアさんもキャビア自体が特別な食材ですし、体験として調和していく部分があると思っています。


日本の食文化ってどうしてもまだまだ閉塞的なところがあると思っています。イギリスのアフタヌーンティーの文化みたいに、うまくごろっとしたコンテンツになってないっていう部分があると思っているんです。例えばカラスミのような美味しいものがあっても、カラスミは物質としてカラスミで終わってて、カラスミをこういう風に楽しもうっていうものがなかなかない。


焼酎にも同じことが言えて、そこにキャビアっていうその素晴らしい食材があるおかげで価値が高まっていくと思うし、それが日本で作られているっていうところにすごい意義があると思っていて、今回、本当にこのコラボが実現できたことを、文化的にも素晴らしい価値があるんじゃないかと思っているんです。




─ 両社が目指す体験に重なる部分があったからなんですね。



橋本:そうですね。加えて、SHOCHU Xとしてどこの企業とコラボレーションを始めるのか、と考えた時に、やはり一流のブランドと取り組みたい、という想いがありました。


日本酒の「獺祭」を作っている旭酒造の桜井会長も、海外に進出するときに絶対トップから攻めないとダメだという思想をお持ちだったらしく、フランスから行くって決めてたらしいんです。

結果、今獺祭はフランスですごく飲まれていて、獺祭のブランドが確立されています。


日本を見渡して、世界に認められている最高の食材って何だろうと考えた時に、やはりJ.CAVIARさんと出来ることは大変光栄だと思っています。


オンライン対談の様子(左が橋本、右が坂元社長)


坂元:ありがとうございます。


獺祭さんは、実は我々が一番最初にコラボしたブランドなんです。やはり我々も最初はトップメーカーの旭酒造さんとやりたい、という想いがありましたし、実際にその実績のおかげで色々なところとコラボしやすくなりましたね。

どこと取り組むのか、というのは非常に重要な視点だと思います。


ちょっと言いにくいのですが、実はもともと私は「焼酎とはやりたくない」と言っていたんですね。いや昔の話、ですよ。(笑)


実はジャパンキャビア がある宮崎県は、焼酎生産量日本一なんです。

なのでキャビアを世に出す際、何をペアリングするかということも考えた中で、周りの方々は「宮崎といえばやっぱり焼酎だろう」と口々に言っていたんです。


でも、私の中でキャビアと焼酎って合わないっていう思いもあったし、何よりもビジュアル的に合わないっていうのも感じていて。

だって、キャビアのお洒落な瓶に、所謂従来型の焼酎の一升瓶を並べても、全然おしゃれじゃないので。


でも今回SHOCHU Xと「一緒にやりたい」と決断をできたのは、まずは何よりも一緒に並べてかっこいいんですよね。

デザインの親和性と言いますか、ハレの日の写真に、焼酎とキャビアが一緒に並んでいるのもありだよね、と可能性を非常に感じました。


あとは味です。

焼酎の美味しさって、私の中では「甘み」だと思っていて、焼酎をお湯割りして飲む人って結構いらっしゃると思うのですが、お湯で割ることであの甘い香りが立つんですよね。


でも、SHOCHU Xの煌星はストレートで飲んでも香りがすごい。

ウッディーな香りがして、焼酎と言われなければウイスキー?と思ってしまうような、そんなイメージを抱いたんです。

実は、キャビアとウイスキーってよく合うんですよ。

私色んなところでこれ言ってるんですけど、あんまり広まらないんですけどね。(笑)


そのウイスキーと同じぐらい、キャビアとの相性がいいと感じましたので、味の面でも是非一緒にやりたいなと思いました。

 


オシェトラロイヤル × 煌星  熟成が織りなす奇跡のマリアージュ


─ お互いがお互いを引き立て合っている印象です。両社はそれぞれいくつもの商品を展開されていますが、なぜ、今回のコラボレーションでは「煌星」と「オシェトラロイヤル」を選ばれたのでしょうか。


坂元:数多の酒類、食材がある中で、煌星という焼酎とうちのキャビアがたまたま出会い、非常に相性が良かった。まるでカップルのように、まさに運命的な出会いだったと思っています。

キャビアも魚種によって味が異なるのですが、煌星にこのオシェトラを合わせたのは、一緒に世界を目指して行くのであれば、今国内で取れる魚種の中で、海外で一番ブランド力のある魚種であるオシェトラ、その中でも一番ブランド力があり高品質なロイヤルが良いと思ったからです。

最高のマリアージュが実現しました。


橋本:煌星については、先程坂元社長がウイスキーのようだと仰られていましたが、まさにその通りでして、この煌星は、ウイスキーのような樽熟成の焼酎なので、実際飲んだ方からは「焼酎と言われなければ分からない」「ウイスキーみたい」という声をよく聞きます。


この煌星は、海外の樽貯蔵の文化と、日本の麹の文化の融合を叶えた一本で、焼酎のニュアンスも大切にしながら、実際に自分たちでブレンドしています。


また、先程も言った通り海外のウイスキーなどの蒸留酒は食後酒として飲まれている一方、焼酎は日本では食中酒として飲まれています。


それには理由があって、焼酎は麹から作られているのですが、麹由来の「オクテンオール」という香り成分によって、松茸のような、キノコ類っぽいニュアンスが出るんです。それが食事ともよく合うんですよね。


なので煌星はウイスキーっぽいというポジショニングを得つつも、そういった焼酎本来の麹感もイメージしているので、なおさらストレートで飲んだ時にキャビア等の食材に合うんです。


熟成感のあるキャビアと、熟成感のある焼酎の、非常に深みのあるペアリングが実現していると思います。

是非そのマリアージュをお客さまに体感いただきたいです。




─ おすすめの愉しみ方はありますか?


坂元:私はキャビアを食べるときにいろんな料理をするんですけども、一番美味しいのはそのままです。

まずはそのままスプーンでケチらずにバクッと言って(笑)、煌星をキュッと飲む、というのが一番美味しいかな、と思います。


で、しばらく余韻が残るのですが、余韻が消えた後に、もう一口、追いキャビアして。それを無限に繰り返していくっていうのが最高です。(笑)



橋本:僕もその愉しみ方が大好きです!

いや本当、一週間前も僕は全く同じ愉しみ方で、煌星をストレートで、オシェトラロイヤルもそのままで行ったり来たりしてました。

最高の贅沢ですね。


煌星を飲むのはよくストレートを推奨しているのですが、香りも含めてストレートでもあまり度数を感じずスルっと飲めるのは熟成の効果によりまろやかになっているからです。


煌星は平均十数年熟成させた焼酎をブレンドしています。

時代の移り変わりが早くなっている昨今ではありますが、熟成というのは直ぐには生み出せない、唯一無二の価値だと思います。


煌星の価値は、味も然りですが、悠久の時の流れに思いを馳せながら、熟成酒を飲むというのが何にも変えがたい一番の愉しみ方だと思っています。



坂元:あとは、今日はストレート、明日はロックとかね。

飲み方、食べ方はいろいろ好き好きがあると思うので、まずはそのままで試して、その後はお好きなように愉しんでいただければと思います。

 

これからも続く、両社の挑戦


─ 最後に、それぞれが目指される今後のチャレンジについてお聞かせください。


橋本:「TRANSFORM SHOCHU」というミッションを果たすためにブランドを運営していますが、その文脈で日本文化を広めるための一つとして認識されることも少なくありません。


私たちは「焼酎」のプロなので、焼酎を通じて日本文化を広げていきたいと思っています。


しかし逆に言うと焼酎以外のことは出来ないので、今後もJ.CAVIARさんのような想いや体験が重なるプレーヤーと一緒に手を取り合いながら、日本の良いものを広めていきたいと思っています。



坂元:私たちは海外に通じるキャビアを作りたいという想いと同時に、実は「日本でキャビアを食べる文化を育てたい」と思っています。

日本では、今はまだキャビアは食べるものではなく、飾るものなんですよね。


海外にはキャビア専門のレストランがあるくらい、キャビアをバクバク食べるのですが、日本でもそれくらい食べてほしいです。


今取り組んでいるのは、「和テイストのキャビア」です。日本ならではの醤油、昆布のうま味や出汁をキャビアと合わせることで、日本にしかない、日本人でも「おいしい」と思える「和キャビア」を作っています。


もっとキャビアに親しんでくれる人が増えるように、頑張ります。